歯周病は、歯を失う二大原因のひとつといわれる病気です。
初期にはほとんど自覚症状がないため、気付いたときにはすでに進行していることも少なくありません。
そんな歯周病の予防と治療において、今注目されているのがGBTメンテナンスです。
この記事では、歯周病の治療や予防のキーワードとして注目されるGBTメンテナンスの特徴やメリットをわかりやすく解説します。
目次
■GBTメンテナンスとは?
◎歯科先進国スイス発の新しい歯周ケア
GBT(Guided Biofilm Therapy)メンテナンスは、スイスのEMS社が提唱する、バイオフィルムを効率よく除去する歯周病予防、治療のための新しいメンテナンス方法です。
今までの歯石除去とは異なり、細菌の見える化と、専門の機器による清掃を組み合わせた方法で、他のクリーニング方法にはないメリットも多くあります。
◎バイオフィルムに着目した予防法
GBTでは、歯石ではなくバイオフィルムの除去を主目的としています。
バイオフィルムは目に見えず、通常のブラッシングでは落としにくいため、歯科でのプロフェッショナルケアが必要です。
GBTではこれを除去することにより、歯周病やむし歯のリスクを低下させます。
■GBTメンテナンスの流れ
1.口腔内の診査と記録
まずは歯ぐきの状態や歯周ポケットの深さ、出血の有無などを検査します。
これにより、炎症の程度やリスク部位を把握します。
視診や触診といった歯科的評価に加え、必要に応じてレントゲン撮影も行われる場合があります。
2.染め出し
染色液を用いて、歯に付着したバイオフィルムを色で浮かび上がらせます。
この段階で患者さんも自分の磨き残しの傾向を把握でき、治療の効果や必要性を視覚的に理解しやすくなります。
3.清掃指導
染め出しの結果をもとに、歯科衛生士が個別にセルフケアの指導を行います。
正しいブラッシング方法、歯間ブラシやフロスの使い方、歯磨き剤の選び方など、日常生活で行いやすいアドバイスが受けられます。
4.エアフローによるバイオフィルム除去
微粒子パウダーを吹き付けて汚れを落とすエアフローを用いて、歯の表面からバイオフィルムを効率よく取り除きます。
痛みが少なく、歯面を傷つけにくい点が特徴です。
5.ペリオフローで歯周ポケット内の洗浄
4mm以上の深さがある歯周ポケットには、ペリオフローという専用ノズルを使って、微粒子パウダーを奥まで届けて洗浄します。
歯ぐきの内部に潜むバイオフィルムの除去が可能で、歯周病の進行や再発を防ぎます。
6.超音波スケーラーによる歯石除去
バイオフィルムの除去が終わった後、必要に応じて残った硬い歯石を超音波スケーラーで取り除きます。
7.再評価
処置後の歯ぐきの状態を再チェックし、改善の有無や残るリスク部位を確認します。
再度セルフケアの見直しや、追加治療の提案が行われることもあります。
■GBTメンテナンスのメリット
◎痛みや不快感が少ない
今までのスケーリングの痛みや振動が苦手だった方にも、GBTは好評です。
特にエアフローを用いた処置は、空気と水、微細なパウダーを吹き付けることで汚れを除去できます。歯面に機械が強く当たることがなく、治療中の不快感が少ないです。
◎歯のダメージを抑える
GBTでは、機械的に歯に強く当てる処置を減らし、パウダーと水でバイオフィルムを浮かせて取り除くため、エナメル質や修復物を傷つけにくいという特徴があります。
◎セルフケアの改善がしやすい
バイオフィルムを「見える化」することで、患者さんご自身が日々の磨き残しに気付きやすくなり、ホームケアの質が良くなります。
【GBTメンテナンスで未来の歯を守ろう】
GBTメンテナンスは、今までの歯周病治療に比べて、より痛みが少なく、効果的にバイオフィルムを除去できる方法です。
歯周病を予防したい方、すでに治療を受けている方、歯医者が苦手な方も、このGBTメンテナンスを検討してみてはいかがでしょうか。
※歯科医院によってGBTメンテナンスに
対応していない場合もあります。