甘いものを食べるとむし歯になりやすいとはよく聞きますが、実際には食べ物やお菓子の種類によって、むし歯になりやすいもの、なりにくいものがあります。
同じおやつでも選び方や食べ方次第で、むし歯のリスクを変えることができるのです。
この記事では、むし歯になりやすい食べ物やお菓子の特徴、反対にむし歯になりにくい食べ物、さらに毎日の食生活で差がつくポイントについて詳しく解説します。
目次
■むし歯はなぜ起こるのか?
◎むし歯の仕組み
むし歯は、口の中の細菌が食事の糖分を分解して酸を作り、その酸が歯の表面を溶かすことで進行します。
特に砂糖(ショ糖)を含む食べ物を口にした後は、歯の表面が酸性に傾きやすく、むし歯のリスクが高まります。
この酸によるダメージと、唾液による修復(再石灰化)とのバランスが崩れると、むし歯が発生します。
◎食べ物の種類だけでなく食べ方も重要
糖分を含むものを食べ、酸性に傾いた口の中がすぐに中和されればほとんど問題はありません。つまり、むし歯になるかどうかは何を食べるかだけでなく、どのように食べるか、どれくらい口の中にとどまるかによっても左右されます。
同じチョコレートでも、食べた後に水やお茶を飲む人と、少しずつ口にして長く舐める人とでは、むし歯のリスクが異なるのです。
■むし歯になりやすい食べ物やお菓子
◎砂糖を多く含むもの
チョコレート、キャンディ、グミなど砂糖をたっぷり含むお菓子はむし歯になりやすい代表格です。
特に口の中で長く残るキャンディやキャラメルは、歯が酸にさらされる時間が長くなり、むし歯のリスクが高まります。
◎歯にくっつきやすいもの
キャラメル、もち菓子、ドライフルーツなどは歯に貼り付きやすく、口の中に糖分が残りやすくなります。
歯の表面に長く糖が滞留することで、むし歯を進行させやすくなります。
特にお子さんが好むグミやゼリー菓子は、歯の溝に入り込んで取れにくいこともあり注意が必要です。
◎酸を含むお菓子や飲み物
酸っぱいグミや炭酸飲料などは、糖分だけでなく酸そのものが歯を溶かす原因になります。
砂糖と酸のダブル作用で、むし歯や酸蝕症(さんしょくしょう:酸によって歯が溶けること)を起こすリスクが高くなります。
■むし歯になりにくい食べ物、おやつ
◎キシリトール入りのお菓子
ガムやタブレットなどで使われるキシリトールは、むし歯菌が分解できないため、酸が作られない成分です。毎日のおやつに取り入れることで、むし歯予防に役立ちます。
特に食後に食べる習慣を持つと、唾液分泌が促されるため相乗効果が期待できます。
◎ナッツ類
アーモンドやクルミなどのナッツは糖分が少なく、歯に付きにくい食べ物です。
咀嚼によって唾液の分泌も促されるため、お口の中を中性に保つ効果も期待できます。
また、ナッツに含まれるカルシウムやリンは、歯や骨の健康にも良いとされています。
◎チーズ、ヨーグルト
乳製品にはカルシウムが豊富に含まれており、歯の再石灰化を助ける働きがあります。
チーズは唾液分泌を促し、口の中をむし歯になりにくい環境に整えてくれます。
ヨーグルトも無糖タイプを選べば、腸内環境を整えつつ歯の健康にも貢献します。
◎フルーツ
砂糖が添加されていない果物は、甘みがあっても水分が多く、歯に付着しにくいのが特徴です。
リンゴや梨などシャキシャキした果物は咀嚼による歯の自浄作用も期待できます。
ただしドライフルーツは粘着性が高いため注意が必要です。
■むし歯になりにくいおやつの食べ方
◎ダラダラ食べない
どんなお菓子でも、長時間少しずつ食べ続けると、口の中が酸性に傾いた状態が続きます。
時間を決めて食べ、食後には口をすすぐ習慣をつけましょう。
特に子どものおやつは時間を決めることがむし歯予防につながります。
◎お茶や水と一緒に
砂糖を含むお菓子を食べるときは、緑茶や水など糖分を含まない飲み物と一緒に摂ることで、口の中に残る糖を減らすことができます。
◎なるべくすぐ歯磨きをする
甘いものを食べたらなるべく歯磨きをするようにしましょう。
食後すぐに歯磨きができない場合は、口をゆすぐ、キシリトールガムを噛むなどすると、外出先や学校、職場でも取り入れやすい方法で、むし歯リスクを減らすことができます。
【何を選ぶか毎日の積み重ね】
むし歯になりやすい食べ物は砂糖が多い、歯に残りやすい、酸を含むものがあり、反対にむし歯になりにくい食べ物は歯に残りにくく唾液を促す、再石灰化を助けるものです。
毎日のおやつ選びや食べ方の工夫によって、むし歯リスクは大きく変わります。
甘いものを完全に避けるのではなく、何を、どのように食べるかを意識することが、歯の健康を守る第一歩です。