歯肉からの出血や腫れといった症状は、もしかすると歯周病のサインかもしれません。
このような症状があり、歯周病と診断された時、歯周病は治るのかどうか不安になる方も多いでしょう。
結論から言えば、歯周病は進行度によっては治すことができます。
この記事では、スケーリングや再生療法といった治療方法、そして予防の大切さについて段階別に詳しく解説します。
目次
■初期段階の歯周病は治療で改善が可能
◎スケーリングで歯石を除去
歯周病の初期段階では、スケーリングと呼ばれる処置で歯石を除去することが基本となります。
歯石は自身のセルフケアだけでは落としきれないため、歯科医院で取り除く必要があります。
これにより歯肉の炎症が改善し、出血や腫れといった症状も良くなります。
◎ルートプレーニングで歯の根の表面をきれいに
歯石除去と合わせて行うのが、ルートプレーニングという処置です。
これは歯の根の表面をなめらかに整えるもので、細菌の再付着を防ぐ目的があります。
これらの処置をして、日々のセルフケアを行うことで、初期の歯周病は治癒が期待できます。
■進行した歯周病には外科的治療が必要になることも
◎中等度以上の歯周病では歯周ポケットが深くなる
歯周病が進行すると、歯と歯肉の間にある歯周ポケットが深くなり、中に入り込んだ汚れを通常の器具では取り切れなくなります。
この段階では、フラップ手術と呼ばれる外科的な処置が行われます。
フラップ手術とは、歯肉を一時的に開き、内部の感染組織や歯石を目視で取り除く方法です。
◎失った組織を取り戻す再生療法もある
さらに重度の歯周病のケースでは、歯を支える骨や歯周組織が破壊されている場合もあります。そのようなときに行われるのが再生療法です。
GTR法(歯周組織再生誘導法)やエムドゲインを使用した再生療法は、失われた骨や歯ぐきの再生を促す治療で、歯を少しでも長く残せる可能性が高まります。
全ての症例に適用できるわけではありませんが、有効な選択肢のひとつです。
■歯周病は放置すると取り返しがつかなくなる怖い病気
◎最終的には歯を失う可能性もある
歯周病を放置すると、骨がどんどん吸収されて(痩せて)いき、最終的には歯を支えられず、抜けてしまうことがあります。
こうなると自然治癒は見込めず、抜歯を行い、インプラントなどの補綴治療が必要になります。症状が進んでからでは、治療期間も長く、費用も大きくなってしまうため、早期発見・早期治療が重要なのです。
◎全身の健康にも影響する
歯周病はお口の中だけの問題にとどまりません。
歯周病菌が血流に入り込むことで、糖尿病の悪化、心疾患、脳卒中、さらには早産リスクの増加といった全身疾患との関連性が指摘されています。
■歯周病を防ぐには日々の予防と継続的なケアが重要
◎セルフケアの質を高めることが基本
歯周病の予防と再発防止には、毎日の歯磨きが欠かせません。
ただし、磨いているつもりでも歯と歯肉の境目や歯間部に歯垢(プラーク)が残りやすいため、フロスや歯間ブラシの使用も重要です。
定期検診などを利用して、正しいブラッシング方法を歯科衛生士から指導してもらうと効果的です。
◎歯科医院での定期メンテナンスが鍵になる
セルフケアだけでは取りきれない部分を補うのが、プロによる定期的なメンテナンスです。PMTCやエアフローを用いたクリーニング、歯周ポケットの測定などを通じて、ケアの質をさらに高めましょう。
軽度であっても継続的な管理を受けることで、健康な歯周組織を維持できます。
【歯周病は治る可能性があるからこそ、早めの対処を】
歯周病は、初期の段階であればスケーリングやセルフケアの見直しによって改善が可能です。
進行した場合でも、外科処置や再生療法などを用いれば、歯を残せる可能性もあります。
ただし、放置すれば歯の脱落につながり、入れ歯やインプラントなどの補綴治療が必要になる場合もあります。
大切なのは、気づいた時点ですぐに受診することです。
小さなサインを見逃さず、定期的に歯科を受診する習慣を持つことが、健康な歯を守る方法です。
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