子供のむし歯を防ぎたいと考える保護者の方にとって、歯磨きやフッ素塗布と並んで取り入れたいのがシーラントです。
あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、シーラントは小児歯科の現場で多く行われているむし歯予防処置のひとつです。
この記事では、シーラントとは何か、どんな仕組みでむし歯を防ぐのか、何歳から受けられるのかといった基本情報をわかりやすく解説します。
目次
■シーラントとは?
◎奥歯の溝を樹脂でふさいでむし歯を防ぐ処置
シーラントとは、奥歯の噛む面にある溝を、むし歯にならないように歯科用の樹脂でふさぐ処置のことを指します。
奥歯には裂溝(れっこう)と呼ばれる細くて深い溝があり、ここに食べかすや汚れがたまりやすいのが特徴です。
この溝は非常に複雑な形をしていて、子供のうちは歯磨きで十分に汚れを落とすことが難しく、気づかないうちにむし歯になってしまうことがあります。
そこで、あらかじめこの溝を薄い樹脂でコーティングし、汚れが入り込まないようにすることで、むし歯のリスクを大きく減らせるのです。
シーラントは削ることなく行える処置で、痛みもほとんどなく、むし歯予防にとても効果的です。
◎乳歯にも永久歯にも処置できる
シーラントは、乳歯と永久歯どちらにも処置できます。
特に永久歯が生えて間もない時期は、歯の質がやわらかくむし歯になりやすいため、シーラントであらかじめリスクを抑えることが重要です。
■シーラントの仕組み
◎むし歯菌を物理的にブロックする
シーラントの特徴は、物理的にむし歯菌の侵入を防ぐ点にあります。
奥歯の溝の中にむし歯菌が入り込むと、食べかすを栄養にして酸を出し、歯の表面のエナメル質を溶かしてしまいます。
しかし、シーラントで溝を覆ってしまえば、細菌が入り込む隙がなくなり、むし歯の進行そのものを防ぐことができます。
◎フッ素を放出する効果
使用されるシーラント材の中には、フッ素を放出するタイプのものもあります。
フッ素には歯の再石灰化を促し、むし歯を初期段階で修復する効果があります。
そのため、シーラント処置自体がむし歯予防のバリアになるだけでなく、歯の修復作用をサポートする役割も果たすのです。
◎定期的なチェックが必要
シーラントは永久に効果が持続するわけではありません。
食事や歯磨きなどで少しずつ剥がれてしまうことがあり、隙間から細菌が入り込んでしまうと、かえってむし歯になりやすくなることもあります。
そのため、定期検診でシーラントがしっかり残っているか、必要に応じて再処置が必要かを確認することが大切です。
■シーラントは何歳からできる?
◎6歳前後がひとつの目安
一般的にシーラントが行われるのは、6歳ごろに生えてくる第一大臼歯が出てきたタイミングが目安となります。
この歯は永久歯の中でも最初に生える大切な奥歯で、噛む力の主役を担う重要な歯です。
生えたばかりの第一大臼歯は歯ブラシが届きにくく、むし歯になりやすい部位でもあるため、この時期にシーラントを行うことが良いとされています。
◎3歳ごろから可能なケースもある
個人差はありますが、3歳〜4歳の段階で乳歯がむし歯になりそうな様子が見られる場合には、早めにシーラントを行うこともあります。
ただし、じっとお口を開けていられることが前提になるため、年齢よりもお子さんの協力度が判断基準になることもあります。
処置は数分で終わるものの、材料を定着させるためにはしっかりと乾燥させる必要があり、動いてしまうとやり直しになることもあります。
【シーラントは子供のむし歯予防に効果的な選択肢】
シーラントは、むし歯になりやすい奥歯の溝をあらかじめふさいでおくことで、むし歯予防効果を高める方法です。
特に乳歯や生えたばかりの永久歯はむし歯のリスクが高いため、シーラントで守ってあげることは大きなメリットになります。
フッ素とあわせて、シーラントによるむし歯予防を検討してみてはいかがでしょうか。