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動画に残した寝息、見間違いかもしれないと迷ったら
風邪が治ったのに、いびきが続く。夜中に一瞬、息が止まったように見えて思わずスマートフォンを向けた。そんな場面では、様子を見てよいのか判断に迷う親御さんが多くいらっしゃいます。この記事では、睡眠中と日中に確認したいサイン、受診を急ぐ目安、耳鼻咽喉科・小児科・歯科それぞれで相談できる内容を整理します。撮影した動画や日々のメモは、そのまま診察の手がかりになります。
この記事の要点まとめ
- 風邪の後も続くいびきや呼吸の途切れ、あえぎ、寝相や日中の変化を記録し、動画やメモを診察時に共有する。
- 鼻づまりやアデノイド・扁桃は耳鼻咽喉科や小児科へ、口呼吸・舌の動き・歯並びは歯科へ相談できる。
- 顔色や反応、呼吸に気になる変化があれば救急相談を検討し、検査や治療は診察を踏まえて医師と相談する。
子供のいびきで確認したい呼吸と日中のサイン

風邪で鼻が詰まっている間は、子供でもいびきをかくことがあります。気にかけたいのは、風邪が治った後も数週間続くいびきです。音の大きさだけでは睡眠時無呼吸かどうか判断できません。呼吸の様子や日中の変化もあわせて見ていきます1。
息が止まった後のあえぎや、苦しそうな呼吸
いびきが途切れて静かになり、数秒後に「ガッ」とあえぐように息を吸い込む。こうした流れは、睡眠中に空気の通り道が狭くなっているときに見られる特徴のひとつです1。ほかにも、呼吸のたびに胸やみぞおちがへこむ、首の筋肉を使って息をしている、唇の色がいつもと違う、といった点を観察しておきましょう。呼びかけへの反応が乏しい、顔色が明らかに悪い場合は、受診日を待たずに救急相談や救急要請を考えてください。
寝相の変化と、風邪の後も続くいびき
次のような寝相や様子は、子供が楽に呼吸できる姿勢を探しているサインと考えられることがあります。
- 頻繁に寝返りを打つ
- 首を後ろへ反らせて眠る
- うつ伏せや、お尻を上げた格好で眠る
- 頭や首に寝汗を多くかく
いびきについては、週に何日あるか、風邪の後どのくらい続いているかを書き留めておくと伝えやすくなります。「大きないびきではないから大丈夫」とは言い切れません。音が静かでも、呼吸が浅く途切れがちなケースがあります1。
眠気だけでなく落ち着きにくさも伝える
朝なかなか起きられない、寝起きの機嫌が悪い、授業中にそわそわする。子供の場合、睡眠の質が下がると、眠気よりも落ち着きにくさや集中しにくさとして表れることがあります1。担任の先生から聞いた様子も、受診時に伝えられる大切な情報です。ただし、日中の行動だけで睡眠時無呼吸と決めることはできません。ほかの要因も含めて、医師が総合的に判断します。
鼻や喉の通り道と、口呼吸・歯並びの関係
いびきに関わる鼻・喉の状態と、歯科検診で指摘されやすい口の状態は、重なる部分があります。ただ、確認する場所と担当する診療科は異なります。どちらか一方だけで原因を決めつけないことが、受診先を選ぶ手がかりになります。
アデノイド・扁桃の大きさや鼻づまり
子供の睡眠時無呼吸の背景としてよく知られているのが、鼻の奥にあるアデノイドや、喉の扁桃が大きいことです。これらは幼児期から学童期にかけて大きくなりやすい組織です。寝ている間は喉の筋肉がゆるむため、空気の通り道がさらに狭くなります1。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎で鼻が詰まっている場合も、口で息をせざるを得なくなります。アデノイドや扁桃の大きさ、鼻の状態を直接確認するのは耳鼻咽喉科の役割です。
「お口ぽかん」と歯並びからわかること・わからないこと
口がぽかんと開く子供には、いくつかの要因が絡んでいることがあります。たとえば、鼻で呼吸しにくい、唇を閉じる力が弱い、舌が低い位置にある、といったものです。
歯科では、次のような点を確認できます2。
- 口の閉じ方
- 舌の位置や動き
- 舌圧(舌が上あごを押す力)
- 上あごの幅や歯並び
さ行を話すときに息が漏れる場合も、舌の使い方や前歯のすき間と関係することがあるため、相談事項に含めてかまいません。一方で、これらの所見から睡眠時無呼吸の有無を診断することはできません。歯科でわかるのは「口の環境」までと考えておくと、診療科ごとの役割分担がつかみやすくなります。
受診を急ぐ場合と、川崎市で相談先を選ぶ場合

顔色や反応に異常がある場合は救急へ
次のような様子がある場合は、通常の外来を待つ状況ではありません。
- 睡眠中に唇や顔色が青白い、または紫色っぽい
- 肩で息をするほど苦しそうにしている
- 揺すっても反応がおかしい
このような様子があれば、ためらわず救急要請してください。 救急車を呼ぶべきか判断に迷うときは、子供の症状であれば小児救急電話相談、年齢を問わない相談であれば自治体などが実施している救急電話相談が利用できます。受付時間や実施状況は地域によって異なります1。
続くいびきは耳鼻咽喉科・小児科へ何を伝える?
鼻づまりや扁桃の大きさが気になるなら、耳鼻咽喉科が相談先になります。発熱や体重の増え方など全身の様子も含めて相談したい場合や、どこへ行くか迷う場合は、小児科が入口になります。川崎市で受診先を探す際は、通勤前後や土曜に受診できる医療機関を選ぶと、共働きのご家庭にとって受診を続けやすくなります。
受診時に持参すると役立つのは、次の3つです。
- 睡眠中の動画(いびきが途切れる前後を含む30秒〜1分程度)
- いびきの頻度と、風邪の後から続いている期間
- 朝の様子や、学校で聞いた日中の様子
無呼吸は何秒で決まる?診察と睡眠検査の流れ
大人の場合、10秒以上の呼吸停止を1回と数えるのが一般的です。子供は呼吸の回数が多いため、それより短い停止も評価の対象になります。動画で停止の秒数を測るだけで、診断が決まるわけではありません。
診察では、問診と鼻・喉の観察を行います。そのうえで必要に応じて、自宅で行う簡易検査や、一晩かけて呼吸・脳波・血中の酸素などを調べる睡眠ポリグラフ検査につなげます1。
いびきへの対応と、歯科で相談できる範囲
原因に応じた鼻・喉の治療と睡眠中の呼吸を助ける方法
治療の目的は、いびきの音を止めることではありません。空気の通り道が狭くなっている原因に対応することが中心になります。鼻炎が関わっている場合は、点鼻薬や内服薬による治療が行われます。アデノイドや扁桃の肥大が主な原因と判断されれば、摘出手術が検討されることがあります1。手術後も経過をみていく必要があり、症状の残り方には個人差があります。
手術の対象にならない場合や症状が残る場合には、持続陽圧呼吸療法(CPAP)が選択肢となることもあります3。就寝中にマスクから空気を送り込み、通り道を保つ方法です。どの方法が合うかは、検査結果と診察をもとに医師と相談して決めていきます。
それぞれの方法には、次のような副作用や負担が起こることがあります。
- 点鼻薬・内服薬:鼻の刺激感や鼻血、薬の種類によっては眠気など
- アデノイド・扁桃の摘出手術:術後の喉の痛み、発熱、飲み込みにくさ、まれに術後の出血、全身麻酔に伴うリスク
- 持続陽圧呼吸療法(CPAP):マスクが当たる部分の皮膚の赤みやかぶれ、鼻や口の乾燥、装着による寝つきにくさ
副作用の出方には個人差があります。気になる症状があれば、治療を受けている医療機関に相談してください。
歯並びや舌の動きは歯科へ、無呼吸の検査は医科へ
歯科では、口の開き方や舌の動き、歯並びなど「口の環境」が相談の対象になります。医科での診断が必要と考えられる場合は、耳鼻咽喉科や小児科に相談してください。当院に限らず、歯科で確認する口の状態と、医科で調べる睡眠中の呼吸は区別が必要です。気になる一点だけでなく、お口全体の状態や将来的なトラブルの可能性にも目を向けることが大切です。
口や舌の筋肉を鍛える口腔筋機能療法(MFT)では、無呼吸の指標やいびきが軽くなったという報告があります45。ただし、研究の多くは成人を対象としており、根拠の確かさは限られるとの評価もあります3。子供への効果を一律に見込めるものではなく、医科での診断や治療の代わりにはなりません。 トレーニングを続ける中で、口のまわりや舌の筋肉に疲れやだるさを感じることがあります。
撮影した動画は、耳鼻咽喉科や小児科での相談時に持参してください。口の状態が気になる場合は、医科での診察結果を踏まえて歯科でも相談できます。
よくある質問
Q1. 睡眠時無呼吸のいびきには、どのような特徴がありますか?
A. いびきが途切れて静かになり、あえぐように息を吸い直す流れを繰り返すのが特徴のひとつです。胸がへこむような呼吸、寝汗、首を反らせる寝相を伴うこともあります。ただし、音の大きさだけでは判断できません。
Q2. 子供が呼吸を苦しがっているときのサインは?
A. 肩や首を使って息をしている、呼吸のたびにみぞおちがへこむ、唇や顔色が悪い、といった様子が目安になります。呼びかけへの反応がおかしい場合は、すぐに救急要請を考えてください。
Q3. 子供のいびきはどうやって治すのですか?
A. 原因によって方法が変わります。鼻炎の治療、アデノイドや扁桃の手術、持続陽圧呼吸療法などが検討されます。まずは耳鼻咽喉科や小児科で原因を確認することが出発点になります。
Q4. 歯科検診で口呼吸と歯並びを指摘されました。どこから相談すればよいですか?
A. いびきや呼吸が止まる様子があるなら、先に耳鼻咽喉科または小児科へ相談しましょう。口の閉じ方、舌の動き、歯並びについては、並行して歯科で確認できます。
Q5. 検査や治療の費用はどのくらいかかりますか?
A. 睡眠時無呼吸の検査や治療は、健康保険の対象となることが多く、自治体の小児医療費助成が使える場合もあります。一方、歯並びに対する小児矯正は、公的医療保険が適用されない自由診療となるのが一般的で、費用の目安は10万〜100万円程度です。装置による違和感や、歯の痛みが出ることもあります。記載した金額は一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や内容によって異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
3. Rueda JR, Mugueta-Aguinaga I, Vilaró J, et al. Myofunctional therapy (oropharyngeal exercises) for obstructive sleep apnoea. The Cochrane Database of Systematic Reviews. 2020. PMID: 33141943 / DOI: 10.1002/14651858.CD013449.pub2
4. Saba ES, Kim H, Huynh P, et al. Orofacial Myofunctional Therapy for Obstructive Sleep Apnea: A Systematic Review and Meta-Analysis. The Laryngoscope. 2024. PMID: 37606313 / DOI: 10.1002/lary.30974
5. Camacho M, Certal V, Abdullatif J, et al. Myofunctional Therapy to Treat Obstructive Sleep Apnea: A Systematic Review and Meta-analysis. Sleep. 2015. PMID: 25348130 / DOI: 10.5665/sleep.4652
日本歯科大学大学院生命歯学研究科卒業 博士号(歯学)取得
厚木市 上杉歯科医院 勤務
横浜市 あざみ野青葉デンタルクリニック 勤務
川崎駅D&Dクリニック歯科皮膚科 開業
日本口腔インプラント学会会員
日本歯内療法学会会員
日本顕微鏡歯科学会会員
日本顎咬合学会会員
歯科基礎医学会会員
日本睡眠学会会員
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